宵闇に狼 モトイは言う。 夜は嫌いだ、狼男が鳴くから。 そう言って蹲る彼の姿がまるで痩せ細った狼なのに。 私は恐る恐る腕を伸ばして狼のたてがみに触れた。 ピクリ、と震えたきり彼は動かず、静かに寝息をたてている。 彼の瞼が閉じると私の夜が訪れる。 私の闇に光が差してはならない。 彼が私に触れる理由がなくなるから。